約束のネバーランド10巻レビュー

全巻までのあらすじ

孤児院に偽装された養殖場。「鬼」と呼ばれる生き物の食糧として育てられたエマら子どもたちは、真実を知り脱走を決意する。シェルターで暮らす謎のオッサンに出会い、彼らは世界の秘密を知るW・ミネルヴァのもとを目指す。その道中、エマは鬼にさらわれてしまう。連れてこられたのは、鬼たちが禁じられた人間狩りをする街ゴールディ・ポンド(GP)。そこでエマは、囚われた子どもたちによる反乱に加わる。反乱軍は、協力して2匹の鬼ルーチェとノウマを倒す。

10巻の展開

バイヨンを地下に誘い込み倒すが、主力の一人オリバーが怪我をする。密かにGPに潜入したオッサンによって、ノウマの相方ノウスも倒される。

エマはもっとも厄介な鬼レウウィスと対峙する。退屈を嫌う性格につけ込み、エマはゲームを提案する。内容は15分のフェアな狩りで、はじめの10分間は攻撃をしない制約つき。反乱の首謀者ルーカスにかつて同じゲームを提案したレウウィスは、それを受け入れる。

約束の10分が過ぎる中、エマはレウウィスの説得を試みるが、拒絶される。戦闘が始まるが、主力メンバーの不在に苦戦。圧倒的な戦闘力と知性に万策尽きかけたところに、オッサンが乱入して次巻へ。

見どころ

ナイジェルとジリアンの対バイヨン戦。犠牲の譲り合い展開はアツいんだけど、若干やり取りに必然性がない。強引にはめ込んだ感じがしてしまって、素直に楽しめなかったのが残念。

地下に誘い込んでからの対バイヨン戦。オリバーの負傷にしても、各メンバーの立ち位置が分からないせいでイマイチ入り込めない。なにか過去話でもあれば違ったかも知れない。展開の速さを重視しているのかな、という印象。

対レウウィス戦のオッサン(+レイ)の乱入は、これは定番のアガる展開でよかった。ただ、すでに対ノウス戦で同じ展開をしたせいで、当然インパクトは薄れる。ノウスの倒し方には、もうひと工夫欲しかったかも知れない。

好きなのは、レウウィスがエマのゲームを受け入れるところ。残虐さだけでない複雑な鬼として描ききられれば、より魅力的になりそう。過去話で、ルーカスに鬼の弱点を教えるのもいい。方向性は違うけど、序盤の2人の協力的な鬼を思わせる。物語に深みが出るのですごく好きだ。

あとはもちろん、アダムの失踪。これがどうつながるかが、この先の鍵になりそう。